熱海市の伊豆山土石流災害で立ち入り禁止となっていた警戒区域に帰還した人たちは、3年ぶりに自宅で正月を迎える。大安の25日、帰還者の小松昭一さん(92)は神棚のしめ縄を新調し、お飾りを玄関に飾った。準備を進める小松さんは「早く孫やひ孫に会いたいね」と、家族で過ごす久しぶりの正月を指折り数えて待っている。
警戒区域が解除となり9月末まで市営住宅で避難生活を送っていた小松さんは、発災後2回の正月は妻と2人きりで過ごしてきた。災害前は3人の娘が家族を連れて自宅を訪れ、孫やひ孫を含めて10人以上が集まっていたという。
今年は全員が一堂に会せないが、順番に来る予定になっている。小松さんは「にぎやかな正月が楽しみ。これまでの2年5カ月は生きた心地がしなかった。来年はいい年になるといいね」と笑った。
一方で、帰還者の少ない警戒区域内の実情を嘆き「河川道路の復旧復興が進まないと、帰還したくても判断できない人もいる。市は説明会を開いているが、用地買収が進まないなら、道路と河川を切り離し、どんどん計画を進めてほしい」と話した。