伊東市中央町のスカイドーム、キネマ通り一角のビル２階に、生演奏や舞台のステージを無償で貸し出すスペインバル「プリメラ」がオープンした。手掛けたのは２年前に東京都内から市内へ移住した、元アニメーション制作会社のプロデューサー村田好通さん（５４）。客席の目の前で繰り広げるライブ感、音響にもこだわった新たなエンターテインメント空間として話題となっている。
　村田さんは３０年にわたり、アニメ業界で名の知れたマッドハウス（東京都）などで制作に打ち込んだ。コロナ禍を機に伊豆へ移住、フリーの立場でリモートワークを続ける傍ら、市民の身近な暮らしの中で「誰でも気軽に〝主役〟になれる、演奏や踊りの舞台をつくろう」と思い立った。
　きっかけはフラメンコの踊りを長年たしなむ、妻亜紀さん（５４）の存在だ。「もっと、伊東にも発表する場があっても良いのでは」という思いが踊りや歌の仲間らとも一致し、開業へと動き出した。
　空き店舗の元カラオケバーをリノベーションし、壁面の大鏡などを再利用して板張りのステージを完成させた。広さはキッチンを除く店内の約３分の１を占める、１５平方メートルほど。室内の一部が湾曲した造りの物件は、カラオケバーの時代から「音が良く響く」と評判。９月上旬の週末夜に開いた情熱的なフラメンコ舞台は、客席一体となる大盛況だった。
　ステージの一般貸し出しは木、日曜日を除く午後６～１０時。機材の持ち込みが必要。村田さん夫妻は「プロ、アマを問わずジャズ、弾き語りなど幅広く受け入れたい」と話す。
　問い合わせはメール〈ｓｐａｉｎｂａｒ．ｐｒｉｍｅｒａ＠ｇｍａｉｌ．ｃｏｍ〉へ。