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母の夢、カフェでつなぐ 絵本6000冊とケーキ人気―伊東・PERi

 伊東市富戸にオープンした絵本カフェ「PERi(ペリ)えほんとケーキと」が人気を集めている。店主は木村祐太さん(40)詞子(のりこ)さん(33)夫婦。店内に並ぶ6千冊の絵本は、詞子さんの亡き母で市社会教育指導員だった斎藤克子(よしこ)さん(享年70)が残した蔵書だ。
 
 絵本と子どもが大好きだった克子さんの活動は、読み聞かせや絵本サロンなど、多岐にわたった。絵本作家の催しに出かけて交流を深めては次々と伊東に招き、子どもたちが本物に触れる貴重な機会をつくった。
 「絵本の美術館」をつくる夢を持っていた克子さんが、自宅で大切に保管していた絵本は1万冊。夫婦はその思いをつなぎ、母が愛した絵本を多くの人に楽しんでもらえる店を開くため、古民家を1年かけて改修した。木の質感豊かな内部には、克子さんの自宅本棚そのままの順で絵本が並ぶ。詞子さんは「絵本の選び方、並べ方…今となっては聞きたいことばかり」と話す。
 洋菓子店を開く夢を抱いていたという詞子さん。厳しかった母はあまり家族を褒めなかったが、亡くなる直前に食べた祐太さん手作りのプリンを「今までで一番おいしいプリン」と褒めていた。他界後に看護師からこのことを聞いた詞子さんは「この人と店をやろう」と決意した。常時10種類以上並ぶケーキを作るのは詞子さん、プリンは祐太さんの担当だ。
 安価な料金設定も好評で、小中学生のリピーターも多い。店内には開店を祝う絵本作家たちからの色紙が並ぶ。「作家さんを招き催しをしたい」と話す詞子さんは、克子さんが育んだ作家との親交を継ぎ、自身も新たなつながりを作っている。
 火曜、隔週水曜日休み。問い合わせは〈電0557(52)4131〉へ。
 
 ■新刊購入費に 12日までクラファン
 
 「PERi(ペリ)えほんとケーキと」は、斎藤克子さんが亡くなった2021年以降に刊行された絵本購入を目的に、12日までクラウドファンディングを行っている。返礼品は手作りケーキ、絵本など。詳細は専用サイト「TIMELINE(タイムライン)」で「PERi」を検索する。

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