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日ロ交流まとめ資料集に 「友好の歴史、再確認を」―下田

 元下田市長の石井直樹さん(79)と日ロ協会下田支部長の杉坂太郎さん(78)がこのほど、下田における日ロ交流をまとめた資料集「私たちが取り組んだ日ロ友好の歩み」を作った。プチャーチン提督率いるディアナ号の下田来港と沈没、日露通好条約締結に始まった下田とロシアの交流を伝える新聞や刊行物の記事をつづった。
 石井さんはディアナ号乗組員と日本人の友情を描いたアニメ映画「幕末のスパシーボ」(1997年)を製作した有志グループ「友好半島日露の会」の元会長。市長時代には日露修好150周年事業でまどが浜海遊公園への記念碑建立、記念式典の下田開催などに尽力した。杉坂さんは同支部でロシアのアーティストを迎えた音楽祭や芸術祭の開催、留学生のホームステイ受け入れなど教育、文化、芸術面でロシアとの交流に取り組んだ。
 資料集作製は、小中学校時代の同級生で共にロシア通の2人がウクライナ侵攻で対ロシア感情が悪化していることに危機感を抱き、日露戦争や第2次世界大戦など、幾多の苦難を乗り越えた交流の歴史に再び光を当てたいとの思いからだった。
 作業に半年かけて完成した資料集にはディアナ号来港、下田湾停泊中に襲った安政の東海地震の津波、長楽寺で結ばれた日露通好条約、玉泉寺に葬られた乗組員の供養、アニメ製作、150周年記念事業など、史実と官民の交流を伝える伊豆新聞をはじめ新聞各紙の切り抜き、刊行物の抜粋記事200点以上を収録。A4判のバインダーにとじ、交流の歩みが分かる一冊に仕上げた。9冊作り、市立図書館、下田中などに近く寄贈するという。
 完成した資料集を手に石井さんは「戦争中でも下田の人は玉泉寺のロシア人墓地を守り供養を続けてきた。両国関係は厳しい状況にあるが、市民にはロシアとの友好の歴史を再認識してほしい」、杉坂さんは「素晴らしい文化、芸術がある国。休止している交流が早期に再開されることを願う」と話した。

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