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伊豆・伊豆の国市の小児医療に尽力 医師中島さん退職へ

 伊豆市松ケ瀬の中島病院と伊豆の国市中の伊豆長岡小児クリニックで小児科医として診察を続けてきた中島恵子さん(74)が、9月いっぱいで退職する。両市や近隣の小さな子を持つ親にとって、休日や夜間も快く診察してくれる「けいこ先生」は頼みの綱だった。40年以上にわたって地域の子どもたちを見守り続けたけいこ先生が、やっと一息付けるときをむかえる。
  
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 東京生まれで、両親はともに医師だった。自然と同じ道を志すようになり、東京女子医科大を卒業した。子ども好きだったこともあって、小児科を選んだ。1982年4月、夫で医師の洋さん(故人)の実家、中島病院で働き始める。同病院は翌83年11月、伊豆長岡小児クリニックを開院した。
 「あの頃この辺りは小児科医が少なく、子どもが熱を出すと遠くの病院まで連れて行かなければならなかった。親は大変。少しでも役に立てればと思って、2カ所で診察するようになった」と経緯を語る。
 午前中は中島病院、午後から小児クリニックで患者を診て、夜間でも休みの日でも連絡があれば対応した。2003年に洋さんが亡くなってから病院を離れたことは一度もない。「困る人がいるんじゃないかと思うと心配で出られなかった」。伊豆地区のお気に入りの場所を尋ねられても、病院を離れたことがないので「分からない」としか答えられないという。
 赤ちゃんだった子が自分の子どもを連れて来たり、3代にわたって受診する家族がいたり。これまでを振り返って「本当にありがたいこと」と目を細める。「苦労はなく、あまり大変とは思わなかった。やれなかったことは多々あるけれど、よかったと思う」とこれまでを振り返り、「楽しかったですよ」と静かに笑った。
 中島病院の経営者が変わり、後任体制も整ったことから退職を決めた。最後の診察は、中島病院が29日、小児クリニックが30日。この先のことは、まだいろいろと考えているところという。

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