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コウモリラン丹精し62年 伊東の柿沢さん 牧野博士ゆかりの園が株分け

 伊東市宇佐美の柿沢盛行さん(91)は、「日本の植物学の父」と呼ばれる故牧野富太郎博士ゆかりの高知県立牧野植物園から譲り受けた「コウモリラン」を62年間、大切に育て続けている。今や玄関脇で約30株が密集した幅1メートルほどの“大株”に成長、地域で珍しいと話題を集めている。
 コウモリランはビカクシダとも呼ばれ、名の通りコウモリが羽ばたいているような特徴的な葉の姿で知られる。柿沢さんは幼い頃から植物が好きで、JAで農業技術指導に当たっていた20代半ば以降、全国各地の植物園を訪ね歩いていた。30歳手前で同植物園を訪れた半年後、当時の園長が厚意で株分けしたコウモリランを自宅に郵送してくれたという。「そこまでしてくれる所は、なかなかない。感謝の気持ちに応える思いで、大切に丹精してきた」と振り返る。
 当初は葉が2枚ほどの小株だったが、半世紀以上にわたって毎年1株以上のペースで繁殖させた。温室栽培が通例だが、伊豆ならではの温暖な気候を生かし、あえて屋外の軒先での生育を試みた。
 上部をワイヤでつるし、竹の支柱を土台にするほど大きくなった株を前に「霜の降りない地域では、安心して育つということが実証できた」とほほえむ。関心を持ってくれた人には、小分けもした。
 同植物園は牧野博士の業績を顕彰する施設として没後の1958年、開館した。博士は放映中のNHK連続テレビ小説に実在モデルとして登場するなど、功績が改めて注目されている。

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