熱海市名誉市民で国民的脚本家・故橋田寿賀子さんの貴重な私物を並べたギャラリー「橋田寿賀子先生思い出のストリートギャラリー」が今月初旬、同市中央町に誕生した。橋田さんが通った店「ステーキハウスはまだ」の店主水谷正太郎さんが同店横にある、所有する建物の一階部分を改装し、保有している遺品を展示した。水谷さんは「橋田先生(の面影)が皆さんの心の中にある間に作りたかった」と語る。
ガラス越しには橋田さんが半世紀にわたり執筆活動をした長机と椅子を見ることができる。ピンク色のクロスが敷かれた卓上には橋田さんの利き手に合わせて万年筆が置かれ、執筆に励んだ日常をほうふつとさせる。私服や眼鏡、本、サイン、年表、表札などもある。
橋田さんは同店開業時から足を運び、水谷さんとはプライベートでも交流があった。2021年4月に亡くなり、上多賀の自宅を売りに出す際に水谷さんも遺品整理を手伝い、一部を引き取った。
橋田さんは60年近くにわたり、数々の名作を生み出し「おしん」は60カ国以上で放送されるなど世界的にも知られる。ファンの高齢化も進む中、水谷さんは一日でも早く先生から〝預かった品〟を見せたい―と今年4月から準備を始めた。
展示は24時間、手軽に見てもらえるストリートギャラリー形式にした。橋田文化財団の協力も得て完成させた。記帳台もあり、九州や関西、首都圏などから来て、鑑賞したファンも多くいる。
水谷さんは「自宅の様子が思い浮かぶように展示した。作品を思い出し、橋田先生を思ってもらえたら先生も喜ぶと思う」と話す。