江戸城築城石の運搬を再現する「石曳(び)き道灌(どうかん)まつり」(東伊豆町観光協会主催)が24日夜、同町の熱川海岸通りで開かれた。観光客ら約250人が重さ12トンの伊豆石を人力で動かす「御石曳」を体験した。熱川道灌太鼓や地元バンドの演奏、夜店、花火大会も催され、にぎわった。
伊豆石切り出しの歴史と、江戸城を最初に築き、熱川温泉を発見したとされる室町時代の武将・太田道灌の功績を伝える催し。御石曳の引き手は来場者から募った。名乗りを上げた観光客らはそろいの法被を着て、高さ1・2メートル、幅1・3メートル、奥行き2・6メートルの伊豆石を載せたそりをロープで引っ張った。
石の上に乗った侍大将役の「引けー」という掛け声に合わせて力を込めた。終盤に敷板がはずれるアクシデントもあったが、ゴールまで50メートルを引き切った。
宿の浴衣の上に法被をまとった東京都の会社員越前谷真さん(52)、みゆきさん(48)夫妻は「動かないと思っていた石が皆の力を合わせたら意外とサクッと動いた」「気持ちを一緒にして引くのが楽しかった」と声を弾ませた。
御石曳後の花火大会では今年、初めて手筒花火が催された。駿州木嶋手筒組(富士市)による勇壮な火の粉のショーが来場者を引き付けた。