沼津市戸田の温泉旅館「西伊豆今宵」が、地元名物の深海魚を生かした宿泊客へのユニークなサービスに取り組んでいる。「深海魚とふれあえる宿」をコンセプトに、イベント第1弾として戸田港に水揚げされたさまざまな深海生物を展示。宿泊客らの好評を得ている。
戸田で今季のトロール(底引き網)漁が始まったのに合わせ、同旅館の土田直人・総支配人(53)が地元漁師の大村真史さん(47)らの協力を得ながら開催している。フロント前の専用コーナーには現在、大村さんらが駿河湾で捕獲し水揚げ直後に冷凍したメンダコ、フトツノザメ、キホウボウ、オオコシオリエビなど約20種類が並ぶ。深海の雰囲気を演出するため、ブラックライトで照らしている。
宿泊客らは珍しい深海魚に興味津々の様子で、見たり、触ったりして楽しんでいる。家族3人で泊まりに来た東京都府中市の30代会社員男性は「妻と子どもがとても喜んでいる。深海魚の展示は知らなかったのでラッキー」と話した。今後は、生きた深海魚を水槽で展示(~28日)する他、東京農大・野生動物学研究室による透明標本、専門家に製作を依頼した剝製なども常設展用に準備する。
土田総支配人は「駿河湾が眼前に広がる(当館の)好立地を生かしながら、“深海魚の聖地”と呼ばれる戸田をアピールしていきたい」と力を込めている。戸田のトロール漁の漁期は来年5月中旬まで。