下田市はこのほど、災害時に生活用水として市民らに開放する民間の「災害時協力井戸」登録を開始した。所有者の協力が得られ、水質検査が終わった井戸を順次登録しており、本年度中に約80、来年度末までには100程度の登録を目指している。
昨年発生した能登半島地震では、水道施設が壊滅的被害を受け、長期にわたった断水が復旧・復興の足かせとなった。同市の取り組みは長期間の断水被害を想定した生活用水確保が狙い。昨年度着手した井戸の現況調査で市内に約190の井戸を確認し、使用中の130のうち100程度について、所有者の意向を受けて災害時協力井戸として開放することを前提に、水質検査や登録準備などを進めてきた。
水質検査をパスし、登録された井戸には市が災害時協力井戸であることを示す標識(樹脂製A4判)を交付。必要に応じて機材の修理や更新といった整備費用について、5万円を上限に2分の1を助成している。
井戸は市のホームページで公開しているデジタル版ハザードマップに記載し、周知を図る。今後改訂・発行する紙製マップへの記載も検討するという。
市防災安全課の担当者は「長期にわたる断水でも市民らが生活に困ることのないよう備えたい」と語り、引き続き整備を進めていく方針を示した。標識の交付を受けた同市一丁目の宝福寺坊守・竹岡宏子さんは「少しでも地域住民の役に立てば幸いです」と話した。
