伊豆の国市古奈のすし割烹(かっぽう)「だるま」が運営する無人販売所の会計箱に、500円の記念硬貨が入るようになってきている。米の価格が高騰し始めた昨年夏ごろに始まり、ここ最近はさらに増えた。女将(おかみ)の山田敏江さんは、生活が困っている高齢者が増えているのではないかと心配している。
弁当代として支払われた会計箱にはこれまでに、1985(昭和60)年に茨城県つくば市で開かれた国際科学技術博覧会(つくば万博)、同年に発行された内閣制度開始100周年、86(昭和61)年の昭和天皇御在位60周年の記念硬貨が計12枚入っていた。最近は500円札も入っていたという。
山田さんは最初は気にしていなかったが、だんだん増えていく状況に、高齢者が自動販売機や自動精算機で使えないため、記念硬貨で支払っているのではないかと思うようになった。「生活に困り、記念硬貨を使わざるを得ない状況の人が増えているのではないか」と気をもんでいる。
無人販売で売る田舎バラずし、三色すし、ミックスすしは原料高騰にも関わらず、値段は500円に据え置いてきた。山田さんはしわくちゃになった500円札を見つめながら、「たまにはすしを食べたい人もいるはず。弁当代は今後も値上げせず、できる限り頑張らなきゃ」と語った。