国立遺伝学研究所・集団遺伝研究室の斎藤成也教授が、ネズミの仲間である齧歯(げっし)類の中で最も重いカピバラの概要ゲノム配列(DNA塩基配列)を解析した。その結果、同じ齧歯類のモルモットと、体重が60倍のカピバラの進化速度が似通っていることが分かった。
体重の大きいほ乳類(ゾウ、クジラ、カバなど)は、世代時間(親と子の間の平均的な年齢差)が長いので、進化速度が遅くなるとされている。通常ならば、カピバラはモルモットより進化速度が遅いとされるが、今回の解析で、齧歯類の進化速度が特殊であることが明らかになった。
斎藤教授は、伊豆シャボテン動物公園(伊東市)の協力を得て、問い合わせの約1週間前に死んだ雄カピバラ「雷」を使い研究を進めた。カピバラの95%の塩基配列を決定して、他のほ乳類39種のゲノムデータと比較解析した。結果、霊長類は全体的に進化速度が遅く、齧歯類では速いことも分かった。
斎藤教授は「ゲノム配列を決定し進化学的解析を行い、ほ乳類の形態進化をゲノムデータから推定すれば、カピバラが大きく進化した要因なども解明できる」と話している。