県教委は6日までに、賀茂地区の下田、松崎、稲取の県立3高校を2028年度から1校として機能させる「キャンパス制」に移行する方針を明らかにした。下田を本校、稲取と松崎を分校として残し、下田高南伊豆分校は29年度をもって閉校、下田の定時制は夜間から昼間に移行する。県立高の在り方を検討する地域協議会で取りまとめたグランドデザインに基づく再編だが、南伊豆町では分校閉校を「寝耳に水」と波紋が広がっている。
公立高のキャンパス制導入は県内初。県教委は「賀茂地区特有の地理的条件、公共交通機関の状況を考慮し、教育機会を確保するため3校を学びの拠点として存置する」と説明した。
計画によると、3校を同じ高校のキャンパスと位置付け、一体的に運営する。授業や行事、部活動は一部を合同で実施し、授業では松崎高で本年度スタートした「センター配信型遠隔授業」をモデルに、オンライン授業なども積極導入する。
南伊豆分校については、27年から28年にかけて同地区で1学級分に相当する生徒数が減る見通しを示した上で、教職員を本校に集約して充実した教育環境を整えるため、28年度以降の生徒募集を停止。分校にある園芸科を新キャンパスに設置する予定もないとした。下田高の定時制の改編は、多様な学びの場を提供するための措置という。
28年4月時点で各校に在籍する生徒は各キャンパスの生徒となる。入試は従来通りキャンパスごとに実施する。
県教委高校教育課の担当者は「独立色の強い分校と異なり、キャンパス間の連携を密にした一体的運営が可能になる」と利点を説明。「各校の伝統や地域とのつながりを守りつつ、多彩で刺激のある学びを提供できる高校にしたい」と話した。
再編計画について下田、稲取、松崎の行政、教育関係者らは「学校が残ることはありがたい」などと冷静に受け止める。一方、南伊豆分校が閉校とされた南伊豆町の岡部克仁町長は「過疎化が加速してしまう」などと不安をにじませ、南伊豆分校同窓会の渡辺力会長は「憤りを感じる」と吐き捨てるように話した。
■岡部克仁・南伊豆町長 募集停止要件の入学者15人を下回っていない中での県の決定はあまりにも急で残念。高校がなくなることで、過疎化がさらに加速しないか不安に感じる。町としては引き続き通学費などの支援をしていきたい。
■岩井茂樹・東伊豆町長 キャンパスとして町内に学びの拠点が残るのは良いことだと受け止める。通学にかける時間とコストを減らせ、ICT(情報通信技術)の活用を含め令和の時代にふさわしい新しい教育が展開できるのではないか。これまで提案してきた町立幼小中と県立高の一体的な整備も調整を進めていきたい。
■深沢準弥・松崎町長 町内にキャンパスとして校舎が残るのはありがたい。移動などの課題はあるものの、合同部活動やキャンパスごとの特色などで子どもたちの学習や生活の選択肢が広がるのは良いこと。県教委、地域と連携を取っていきたい。
■楠山俊介・下田豆陽会(下田高同窓会)会長 南伊豆分校廃校は残念。少子化を考えれば高校再編は仕方ないとは思うが、生徒の多様性を尊重し、専門教科を中心に教員を手厚く配置し、生徒の夢を後押しする体制を整えてほしい。
■渡辺力・下田高南伊豆分校同窓会長 ずっと参加してきた協議会では南伊豆分校がなくなる話は出ていなかったので、驚きとともに憤りを感じている。3年後に迎える創立80周年記念事業を計画しようとした矢先だった。農業は今後も重要な産業で、特化した高校を残すべきだった。
