南伊豆町の小稲海岸で5日夜、県の無形民俗文化財に指定されている「小稲の虎舞」が奉納上演された。「小稲来宮会」が特設舞台で勇壮な舞を披露し、集まった観衆を魅了した。
旧暦の8月14日、中秋の名月前夜に小稲来宮神社の祭典として執り行われる伝統行事。劇作家近松門左衛門の「国性爺合戦(こくせんやかっせん)」の一場面を再現しているとされ、主人公の「和藤内」が竹やぶで大虎と遭遇して格闘を繰り広げる。全国的にも珍しい舞という。
若衆2人が勇ましい虎を演じた。太鼓と笛の音に合わせて頭を大きく振ったり、後ろ足を高く上げたりして舞い、舞台を左右に揺らした。
和藤内は土屋玲雄さん(26)が務めた。舞台上で虎との激しい闘いを展開し、生け捕りにして見せた。観客からは拍手と歓声が沸いた。
今年も会員減少などで手石地区の有志の協力を得た。土屋さんは「人口が減っているが、祭りを引き継げていることを光栄に思う」と話した。
