三島市の一番町町内会(渡辺文夫会長)は半世紀に及ぶ念願だった山車を新造し、18日に市立公園楽寿園駅前口で落成記念式典を開催した。多くの参列者に山車をお披露目し、みんなで完成を祝った。市内の山車の新造は十数年ぶりという。
同町内会は1975年ころから、同市の夏を彩る三嶋大祭り開催期間、三島駅前でしゃぎり演奏を披露し、「三島の玄関口」として多くの観光客を出迎えてきた。演奏は建設資材で組み立てたやぐら作りで行っていた。当番町の年には山車引き回しのため、ほかの町内会から山車を借りていた。長年、「三島の玄関口としてちゃんとした山車を見てもらい、しゃぎりを披露すべき」「町内のシンボルとなる山車を持つべき」という声が上がっていた。
現在、三島駅南口東街区再開発事業が進み、これから同町の「三島の玄関口」としての役割が大きくなると考えられ、半世紀にわたりくすぶってきた「山車を新造しよう」という機運が高まった。当番町の今年、多くの賛同を得て山車の新造を実現した。
山車は長さ5メートル、幅3メートル、高さ約4・5メートルで、四方には竜と虎、風神・雷神などが彫刻されている。安全面にこだわり、フットブレーキと前後に引っ張り綱を設けている。
式典では三嶋大社神職による安全祈願祭を行い、町内会や関係者ら約200人が無事故を願った。その後、一番町しゃぎり保存会のはやし方が乗り込み、しゃぎり演奏を響かせ、一番町町内会の山車を多くの人にアピールした。
式典のあいさつで渡辺会長は「山車を観光客、インバウンド(訪日客)に見てもらい、にぎわいあるまちづくりに貢献していく」と述べた。