東伊豆町の熱川海岸通りで29日夜、江戸城築城石の運び出しを再現する「石曳(び)き道灌(どうかん)まつり」(町観光協会主催)が開かれた。住民や観光客ら約250人が重さ12トンの伊豆石を人力で動かす「御石曳」を体験した。熱川道灌太鼓や地元バンドの演奏、夜店、花火大会も繰り広げられ、にぎわった。
伊豆石切り出しの歴史と、江戸城を最初に築き、熱川温泉を発見したとされる室町時代の武将・太田道灌の功績を伝える催し。御石曳の引き手は来場者から募った。
そろいの法被を着た参加者は、高さ1・2メートル、幅1・3メートル、奥行き2・6メートルの伊豆石を載せたそりをロープで引っ張った。石の上に乗った侍大将役・松本晃典さん(32)の「引けー」というかけ声に合わせて力を結集。ゴールまで50メートルの距離を21分5秒で引き切るとバンザイを繰り返し、観衆からの拍手を浴びた。
地元の島田マリ子さん(75)は「好きで毎年参加している。一体感が楽しい」、3回目の参加という東京都の小林梨沙さん(46)も「熱川温泉は人の雰囲気もいい。地元の人と一体となって石を引くのも楽しい」と満足そうに話した。
■台湾物産販売 来場者の注目―九份まちづくり協
東伊豆町の「熱川九份(きゅうふん)まちづくり協議会」は29日、熱川海岸通りで開かれた「石曳(び)き道灌(どうかん)まつり」に出店し、台湾物産の販売やゲームコーナーを催した。
台湾の人気観光地・九份をイメージして、温泉街をちょうちんで演出する「台湾ちょうちんプロジェクト」をアピールする企画。台北駐日経済文化代表処や伊東市の「奏の森リゾート」の協力で、菓子やドライフルーツ、バナナ、ドリンク類などを販売し、来場者の注目を集めた。
マージャン牌を使った台湾のビンゴゲームは子どもらも次々と挑戦した。まつりの前後には約800個のちょうちんが点灯する温泉街を散策し、撮影を楽しむ姿も見られた。