伊豆市年川の森野和仁さん(57)が8月から同市と三島市で書展「ひまわりのたね」を順次開く。現在、がんとの闘病を続けながら創作活動に励んでいる。姉の敦子さん(60)は「大病を患い、いつまで創作活動ができるか分からない。大きな舞台で作品展を開いてあげたい」と思いを語った。
和仁さんは知的障害者で言語機能を喪失している。20年ほど前に、書道教室で書に出合い、楽しみながら作品づくりに取り組んできた。昨年、がんが見つかり、創作活動がいつまでできるか分からないことから、故郷伊豆市と、自身の人生に大きな影響を与えた三島市への感謝を込めた書展を家族とともに企画した。
三島市との関わりは3歳のころにさかのぼる。知的障害者通所施設「佐野学園」(現在の障害者支援センター佐野あゆみの里)に通ったことだった。当時、和仁さんを受け入れてくれる施設がなかなか見つからなかったが、佐野学園だけが快く受け入れてくれた。「和仁の社会とのつながりが生まれたのは三島市だった」と、敦子さんは同学園で過ごした約3年間の弟の姿を写した写真を見ながら語る。和仁さんだけでなく家族全員にとって三島市は特別な街という。
三島市では10月にみしまプラザホテルで開く。「むかえてくれたのは三島でした」と、感謝を込めた副題を付ける。敦子さんは「佐野学園で出会った友人と今でも付き合いがある。受け入れてもらえなければ和仁の人生は変わっていた」と語る。書展に向けて筆を走らせる弟の姿を見ながら「障害があっても、病気があっても楽しみを見つけて明るく生きている。同じ人たちにそんな和仁の姿を見てほしい」と話した。