函南町仁田の平子かおるさん(62)が、21日に卒寿(90歳)を迎えた母・勝田幸子さんへの贈り物として、句集「母子草(ははこぐさ)」を発行した。温かな母子の情景や日々の暮らしを詠んだ句が並び、静かな余韻を残す。
平子さんは2015年に俳句結社「春野」の函南風の会に入会。進行性の脳の難病を患い、将来視力を失い、手足が自由に動かなくなる可能性があると分かり、老人ホームで暮らす幸子さんに「お金では買えないものを贈りたい」と4月から制作を始めた。
発行日は、平子さんが生まれ、母子の縁が結ばれた11月6日。表紙には幸子さんとの縁(円)を重ねたいとの思いを込め、淡いピンク色の円模様を配した。句集には家族との記憶や季節の移ろいを題材にした句を収録し、自身で描いた季節の草花などの愛らしい挿絵も添えた。
完成した句集を幸子さんや家族、知人に贈ったところ、町内の元小学校長の手に渡り、学校図書室への寄贈という新たな縁も生まれた。年明けに町内7小中学校に寄贈する予定で、販売は考えていないという。
平子さんは「母や家族に渡せれば十分と思っていたが、子どもたちの役に立つならうれしい。母との幸せをお裾分けできれば」と話す。幸子さんは句集を何度も繰り返し読んでいるといい、「宝石のような優しい気持ちが伝わってきてうれしい」とほほ笑んだ。
