伊豆の国市の伊豆長岡温泉花柳界に20代の芸者がデビューした。五央莉(いおり)さんで、アルバイト芸者として足を踏み入れた世界で先輩たちの姿を見るうちに、芸者になることを決意した。試験に合格しないと人前で踊ることは許されない。踊りを披露する日を夢見て、稽古に励んでいる。
五央莉さんは芸事をしないでお座敷でサポートするアルバイト芸者「あやめさん」として9月に働き始めた。心を動かしたのは同月下旬の舞台「伊豆あやめ座」だった。芸者衆の稽古に取り組む姿勢、公演での華やかな踊り―。舞台を裏で支えた中で感動を覚え、「胸を張って『芸者です』と言いたい」と、五央莉さんはすぐに決心した。11月に芸者となり、試験の課題曲「お湯の長岡」「あやめ音頭」を覚えるため、16日に伊豆長岡見番で踊りの初稽古に臨んだ。
五央莉さんは磐田市出身。大学卒業後は韓国に留学。現地の日系企業に就職し、経理、翻訳、通訳を担った。 2024年4月に帰国し、リゾートバイトをしようと25年1月から修善寺の旅館で働いている。わずか1年で人生がガラッと動いた。「自分でも驚くが、日本の伝統文化を大切にしたいと突き動かされた」と話す。
最盛期には400人いた芸者も、五央莉さんを加えて今は10人。20代のデビューは数年ぶりという。伊豆長岡芸能事業協同組合の宮本九美組合長は「謙虚さを忘れずに頑張ってほしい」と見守る。
五央莉さんは「早く戦力になって、伊豆長岡を盛り上げたい。理解を示してくれた両親にも踊っている姿を早く見せたい」と目を輝かせる。
