熱海市渚町に15日、飲食店「和食処 豊」がオープンする。熱海に移住した菊池淳さん(61)と伸穂さん(47)夫婦が元和食料理店を居抜きで引き継ぎ、地魚を使った定食や一品料理を提供する。伸穂さんの病気もあり、一度は諦めた飲食店開業をかなえ、夢の一歩を踏み出した。
淳さんは20代で料理人の道に入り、各地の保養所や企業の研修施設、ホテルなどで腕を振るってきた。伸穂さんは淳さんの影響で和食を学ぶようになり、10年ほど前に調理師免許を取得。7年前に同市で暮らし始め、いつか熱海で店を―と夢を抱いてきた。
4年前、伸穂さんががんを患ったのを受け、出店の夢を諦めて互いに違う職場に就いた。治療に励み、ほぼ完治も目前となった昨年10月、夫婦の夢を知る知人から居抜き物件の話が舞い込んだ。伸穂さんは「チャンスが来たのかなと思った」と当時の喜びを振り返る。
店は和モダンな内装をそのまま活用した。海の恵みを生かし、地魚をメインにして昼は定食、夜は一品料理を提供する。手作りを大切にし、定食に付ける豆腐も淳さんが作るこだわりぶりだ。
淳さんは「うれしさと不安は半々。また来たいと思ってもらえる店にしたい」と意気込み、伸穂さんは「地元の人が気楽に立ち寄り、安心できる店にしたい」とほほ笑んだ。
ランチは午前11時~午後3時、夜は午後5時半~10時。定休日は月曜日。