40年の時を経て亡き母・富美子さんが営んだ店と同じ場所、店名で開業した喫茶店がある。熱海市銀座町の「喫茶おりづる」で、平沢尚紀さん(68)と妻さゆりさん(67)が復活させた。当時使っていたカップや皿をそのまま活用し、再現した母のグラタンをアレンジした一品も並べる。かつての店のように住民が集う憩いの場を目指し、奮闘している。
糸川沿いにある鉄骨3階建ての自社ビル2階に店を構えた。オムライスやナポリタンなど当時と同じラインアップをそろえ、折り鶴のロゴが入った調度品が懐かしさを感じさせる。“母の味”に近づけたグラタンをパンに入れて焼く「パングラタン」(800円、飲み物、スープ付き)が看板メニューだ。
富美子さんは現在地にあった木造2階建ての自宅の1階で開業し、20年以上営んだ。店名は好きだった千葉紘子さんのヒット曲「折鶴」から取った。地元客が食事をしながら、語らっていたという。
尚紀さんは国際観光専門学校の職員として働いた。さゆりさんと定年後のライフプランを模索する中、調理師免許を生かして母の店を復活させることに決めた。
市産業支援センター「エーサポ」の応援も受け、6月に開業。8月4日から来店記念として先着50人にタオルハンカチをプレゼントしている。
尚紀さんは「恩返しではないが、いつまでも店の名前を残したいと思った」と振り返り、「引き継いだ店名を大切にし、明るく笑顔でもてなしたい」と2人で声をそろえた。
営業時間は午前11時~午後5時。不定休。