河津町峰の「峰温泉大噴湯」の掘削から100年の節目を今秋に控え、峰温泉大噴湯公園管理運営委員会役員が大噴湯の傍らに建つ掘削者・稲葉時太郎の功労碑に刻まれた文章を読み解いた。峰温泉観光協会長でもある長田雅彦さん(68)で、文章作成や揮毫(きごう)を担った人物についても調べ「改めて稲葉時太郎の功績の大きさと、碑の価値が確認できた」と話す。
稲葉時太郎が3年余りの歳月をかけて温泉掘削に成功したのは1926(大正15)年11月22日で、功労碑は33年に建立された。碑文は旧字や変体仮名も多く「立派な碑なのに中身がよく分からなかった」と長田さん。大噴湯の掘削100年の節目に向けて、碑文の解読に挑んだ。
スマホで碑文を撮影した動画をパソコンに取り込み文字を拡大、拓本もとって判読を進めた。「読めない文字で同じ形をしたものを拾い出し、パズルのように当てはまる字を探った」と振り返る。
上原美術館(下田市)の上席学芸員田島整さんに協力を求め、伊豆半島の石碑調査をした桜井祥行さん(元韮山高校長)が読み解いた資料とも照らし合わした。半年ほどかけて解読を終え「時太郎の苦悩と挫折、百折不撓(とう)の強い信念が力強く書かれていることが分かった」。
文章を書いた服部宇之吉が中国哲学の泰斗で、東京帝国大名誉教授、国学院大学長などを歴任し昭和天皇へのご進講を務めたことや、「功労碑」の揮毫は増上寺(東京都)の第78代法主だと確認し「立派な人が功労碑に関わっていて、時太郎の功績の大きさがくみ取れた」と喜ぶ。
長田さんは世界一高く噴き上げる連続自噴泉として大噴湯のギネス世界認定を目指して調査にも取り組んできた。今秋に予定する大噴湯掘削100年の記念イベントに向けて、功労碑の案内板や説明パンフレットなどを作りたい考えで「大噴湯のすごさと時太郎の功績を発信していきたい」と力を込めた。
