南伊豆町の中学校に在籍する男子生徒Aさんは、2月から不登校になっている。当初はふさぎ込みがちだったAさんを変えたのが、農業や地域住民との出会いだった。学校には今も行けていないが、毎日はつらつと野菜作りを楽しんでいる。
Aさんは学校に行けなくなり、1カ月ほど落ち込んで家に引きこもっていた。しかし、「このままではだめだ」と考え、「太陽に当たると気持ちが明るくなる」ことをインターネットで発見。小学生の頃から自宅前の畑で手伝っていた農業を本格的に始めるようになると、気持ちが前向きになっていった。
300平方メートルほどの畑で、水菜やほうれん草、白菜、タマネギなどの野菜を栽培している。午前8時から作業を始め、午後5時まで活動する。種から育て、日々成長を感じられる点が農業の魅力という。
農業を始めてから地元の農林水産物直売所「湯の花」に行く機会が増え、地域の生産者との交流が生まれた。その中で出会ったのが、「師匠」と慕う同町一条の吉田謹治さん(74)。吉田さんから野菜の特徴や肥料の作り方などを教わり、農業の奥深さを学んだ。
吉田さんは「今は苦境にいるかもしれないが、これをバネに成長してほしい。南伊豆の農業を支えていってもらえたらうれしい」と温かく見守る。
Aさんは学校に行けない代わりに、塾に通って学習している。独学で漢字検定2級に合格するなど、勉学にも意欲的だ。
Aさんは「農業を学べる高校に進学したい。将来は吉田さんみたいな農家を目指す」と夢を語り、同じような境遇にいる子どもに対し「今はつらいかもしれないが、行動すれば未来は明るくなる」と話した。
