伊豆市修善寺の飲食店を兼ねた観光施設「花小道」で、ひな祭り展「女将(おかみ)の雛(ひな)飾り」(修善寺温泉旅館協同組合主催)が開かれている。同施設の前身は2004年まで営業した歴史のある温泉宿「仲田屋旅館」。小説家江戸川乱歩(1894~1965年)がかつて定宿とした経緯があり、好んで泊まった部屋「桜」(205号室)を今展で初公開。多彩なひな人形と合わせ、来訪者の興味を引いている。3月3日まで。
同展は修善寺温泉にある各旅館のおかみが所有するひな人形を持ち寄り多くの人に楽しんでもらおうと、2002年に修禅寺で始まり、20年からは花小道に会場を移した。「推理小説の祖」と呼ばれる乱歩が、会場である旧旅館に頻繁に滞在し執筆に打ち込んだことは、これまであまり知られていなかったことから、修善寺温泉の新たな魅力として発信しようと企画した。
乱歩愛用の宿泊部屋には京風の段飾り、ガラス、ちりめん、陶器のひな人形の他、修善寺温泉が登場する代表作「怪人二十面相」など関連書籍、写真や絵、レトロな旅行カバンなどが飾られ、乱歩が泊まった昭和初期ごろをほうふつさせる雰囲気が来場者を魅了している。
大広間では明治時代から平成までのひな人形約350体をはじめ、道具など計700点が並ぶ。旅館組合担当者は「修善寺温泉のシンボルと言える旅館だった建物の価値をもっと多くの人に知ってほしい」と来場を呼びかけている。
公開時間は午前10時~午後3時。入場料300円。問い合わせは同組合〈電0558(72)0271〉へ。