下田っ子が血をたぎらせる「下田太鼓祭り」で男衆が粋に着こなす「肉襦袢(じゅばん)」。下田市二丁目の「相馬京染店」で、肉襦袢となる反物作りが最盛期を迎えた。竜や唐獅子牡丹が大胆に染め抜かれた反物が風に揺れ、下田の夏を醸している。
同店は市内で唯一残る老舗の染め物屋で、肉襦袢が看板商品。工程は綿のさらしに地色となる肌色と、型紙を使って絵柄の各色を染め重ね、水洗いでのりを落として天日に干す伝統の手法で、すべてが手作業となる。この道60年の2代目店主で職人の相馬正明さん(80)が反物を1枚ずつ染め上げ、縫製(外注)して販売している。
今年の生産量は約60本で、作業は今月末まで続く。相馬さんは「年だし、この暑さはしんどい」とぼやくもその職人技は健在。「私が染めた肉襦袢を着た男衆の揚げる太鼓橋を見物するのが今から楽しみ」と言って作業に精を出した。
下田太鼓祭り(下田八幡神社例大祭)は8月14、15日。