熱海市上宿町の湯前神社に隣接し、長い間日帰り温泉施設として市民や観光客から愛されてきた「日航亭・大湯」の解体が進んでいる。同施設は老朽化を理由に昨年11月16日で閉店していた。跡地には今後、立体駐車場の建設が計画されており、歴史ある建造物の解体や日帰り温泉施設の減少を惜しむ声が上がっている。
同施設は元旅館「金楽」。浴場を整備し、1993年8月「日航亭・大湯」として開業した。低料金で源泉かけ流しの温泉が楽しめるほか、旧旅館をそのまま活用し、大広間の休憩スペースを設けるなど、昭和レトロな空間が味わえると人気を集めていた。
熱海市立図書館によると、現存する古い地図をさかのぼると、「金楽」は1961(昭和36)年に確認でき、同時期に発行された本に掲載された写真から、「日航亭・大湯」の建物は当時のものと推測できるという。
跡地と隣地の熱海ニューフジヤホテル第3駐車場の場所には、伊東園ホテルズの関連会社が、同ホテルグループの「熱海ニューフジヤホテル」宿泊客用の3層構造の立体駐車場2棟(駐車台数計154台)を建設する予定。
解体を知った人たちからはX(旧ツイッター)で「唯一無二の施設を存続する手だてはなかったのか。失ったものは建物だけではない」「日帰り施設の廃業は熱海にとって大きな損失」などの声が上がっている。